フラボノイドやリグナンなどの脂溶性有用化合物関連酵素の構造・機能解析

概要

植物はその生存戦略に重要な役割を果たす適応代謝において、多種多様な二次代謝産物を生産します。それらの中には、フラボノイドやリグナンといった人の健康に資する化合物が数多く存在します。私たちは、ダイズやゴマにおけるフラボノイドやリグナンの生合成に関連し、健康食品などへの応用が期待できる酵素の結晶解析や詳細な酵素学的解析を行っています。

フラボノイド

フラボノイドはC6-C3-C6の15個の炭素原子からなる基本骨格を持つフェノール性化合物群であり、すべての陸上植物に存在し、6900種以上の構造多様性を示すことが知られています。植物は、進化の過程における陸上化に際し、様々なストレスに対処するためにフラボノイド生合成経路を獲得したことが予想されており、その機能は抗酸化作用などに止まらず、植物の生存戦略に極めて重要なシグナル分子としての機能が注目されています。それらのうち、マメ科植物が生合成するイソフラボンは、人が摂取した場合に抗がん作用に代表される薬理活性を示すことが知られているだけでなく、植物が根粒菌と共生関係を築くためのシグナル分子として重要であるため、その生合成経路が注目されています。


Chalcone synthase (CHS)

フラボノイド生合成初期段階の反応である1分子の4-クマロイル CoAと3分子のマロニル CoAの3段階縮合反応の触媒分子として、chalcone synthase (CHS)が用いられます。本研究室では、ダイズ由来CHSの結晶化を行い、X線結晶解析から結晶構造を決定することに成功しました(PDB ID: 7BUS, 7BUR)。

リグナン

桂皮酸誘導体から導かれる植物二次代謝産物の一群で、C6-C3 型の構造が二つ組み合わさった構造をもちます。これらはゴマなどいくつかの種子作物に豊富に含まれ、セサミンとセサミノールはゴマ特有のリグナンであり、健康食品として注目されています。本研究室では、セサミンよりも抗酸化活性の強いセサミノールを、ゴマ搾り粕中の有効活用されていない成分から効率的に生産可能な酵素を扱っており、結晶解析による触媒機構の解明を目指しています。

>